~高校生300名 × 社会人70名で未来のキャリアについて多様な可能性を知る~

第2部 未来想像ワーク
2017年11月25日、大阪府寝屋川市にある香里ヌヴェール学院にて、NPO法人あすいろは「高校生300名 × 社会人70名」のLife Career AZというイベントを開催しました。
イベントの目的は、高校生が世代を超えて多様な価値観や考え方を持つ人と交わり、「働くこと」や「職業観」について考え、生き方の可能性を広げること。
前半の記事では、高校生による、『社会人インタビュー』の様子について紹介しました。

後半では、高校生・社会人の混合チームで10年後の未来を考えていただく「未来想像ワーク」の様子をダイジェストでお届けします!

まずは、未来予想図を描いた動画を思い出し、
この10年で起こりうる変化について、インスピレーションを得ていきます。

未来がどうなるのか?
スマートフォンすら不要で、空間や身体に必要な情報が映し出されるのが普通の光景に?
医者も遠隔で手術をするような時代がくるかも?

その後出された、未来想像ワークの具体的な問いはこちら。

(1)10年後の未来では、どんな新しいモノがあると思いますか?
今あるモノの中で何がなくなる可能性があると思いますか?

(2)10年後、どんなことを提供する仕事(職業名ではなく)が増えていると思いますか?
どんな職業が増えているまたは新しくできていると思いますか?

(3)これらの変化を踏まえて、その未来の世界でどんなことを提供する仕事をしたいですか?
どんな働き方をしたいですか?

これらの問いについてアイデアを出していきながら、10年後の未来世界を描いていきます。

最初は付箋を前に考え込むチームも多かったものの、
「アイデア出しのコツは質より量!」
というファシリテーターからの言葉に背中を押され、少しずつ自由に付箋に書き出していく高校生と社会人たち。

(1)の問いについては、普段の生活がこうなったらもっと便利に、もっと楽しくなる、というのに想像をめぐらす力も問われました。
意外だったのは、ドラえもんに出てくる あんきパンを挙げているチームが複数あったこと。
一度学んだことを覚えずにいる技術は、10年後といわず今すぐにでもほしいですね!

中には、「ロボットが料理など家事をやってくれて便利になる」と書いたあとに、
「でも自分でつくる楽しさもあるよね」とつぶやく高校生もいました。
単にラクや便利を追求するだけでなく、豊かな過ごし方についても思いを馳せたのでしょう。

つづいて(2)(3)の問いに対しては、
常識にとらわれず、ゼロベースでどんなふうに働きたいか
どんなことを通じて人の役に立ちたいのか

社会人のリードのもとに、自分と社会、現在と未来を照らし合わせながら、
内省モードに入っていく高校生もいました。

「ロボットが発達しても、人間だからできる仕事をしたい」
「人に温もりを与える仕事がしたい」
といった、「自分だからできることは何か?」というテーマにも向き合っている回答もあり、社会人もハッとさせられたようです。

こうして、(1)~(3)の問いのもとに、模造紙に書かれた未来世界には、各チームそれぞれの豊かな発想が広がっていきました。

最後は振り返りタイム。
振り返りシートに、インタビューを通じての気づきをぎっしり書き込んでいる高校生もおり、真剣な表情が印象的でした。
社会人たちも、高校生の柔軟で多様な発想から新たな学びと刺激を得ていたようです。

今後もNPO法人あすいろでは多様な生き方、未来についての対話やワークを通じて
自分のありたい姿、生き方を考えるイベントを開催していきます。
乞うご期待ください!

以下、「未来想像ワーク」に関する高校生の振り返りの一部抜粋です。

②『未来想像ワーク』を通して、印象に残ったこと、感じたことは何ですか?
~高校生の振り返り~

「今使っている物を大切にする必要があると思った。ロボットより今の物のほうが人によっては、便利と感じるかもしれない。」

「よく考えてみれば、今自分がなりたいなと思っている職業は、自分が大人になって社会人になった時、本当にあるのかどうかもわからない状況なのだなと思いました。そこをしっかりと見極めていきたいです。」

「普段考えたりもするけど、ここまで真剣に考えたことはなかった。難しく考えすぎずに、あったらいいな、なくなりそう、とグループで相談するのはとても楽しかった。自分が考えていて、何か違うなと思っても、社会人の方が言ってくださった一言で、それだ!と思うことも多く、やっぱり、様々なことを経験してきた人は考え方が違うなと思った。こういうグループワークは今まで面倒くさく感じることが多かったけれど、今回のワークは本当に楽しかった。」

「みんなでたくさんアイデアを出すごとに、発見と驚きと疑問の気持ちが生まれて、アイデアを出すだけでなく、どうしてそれを書いたのかとか、もっと詳しく教えてとか、そういう話もできてよかった。楽しかった。」

「10年後の未来を想像するのが正解がなくて楽しかった。」

「過去を思い出すことは楽でとても大切だけど、未来を考え、次につないでいくことは、大変で難しいことだけれど、過去を思い出すことよりも非常に大切なんだということを感じました。」

「今当たり前に使っている物が、技術の発展に伴って次々と消えていくのを想像すると少しさびしくもなった。機械で便利になっていくのもいいけれど、少なくとも人間らしさは失いたくないと思う。過去の人類が確立してきた人間の感情で表現される美術や作品はずっと必要だと感じた。」

「今あるモノが未来に行ってみると古いモノになっているという当たり前のことがとても身にしみました。どんな未来になっているのだろうという想像はとても楽しく、本当に実現すればいいなと思っています。」

「将来の日本は自分たちが参加しないといけないと知って責任を感じた。」

「私たちのグループは、他のグループと全然視点が違って、意見がたくさん出て、考えるのが楽しかったです。みんな人それぞれ、考え方や意見が違っておもしろかった。」

「未来のことを考えるのはとても楽しいことだし、とても大切だと思った。自分が将来何をしたいか改めて考えることができたからよかった。」

「未来について考えることはこういう時間しかないので楽しかった。未来にはやくいってみたいという気持ちも出てきました。」

「未来を想像することは、自分達のやりたい事とか、欲望が出ていたり、他人の事を思いやってできている事など色々で、どの班の内容も、自分たちに便利なものや、そうなると楽しいものばかりで面白かったです。」

「未来を想像してわくわくしたした!普段は考えないことを考えたり、皆で意見を出し合って絵を描いたりして楽しかった。今、普通に使っている物が未来ではなくなるかもしれないなと思った。」

「自分なりにリアルSF的な考えで未来についての予想を持つことができた。例:AIや自動化技術は発達するが、保守派と活用派でライフスタイルが大きく変わる。」

「10年後になくなる仕事って案外、自分の近くにあって、でもなくなる度に、新しい仕事ができて、上手く社会ってまわっているんだなと感じた。」

「柔軟な考えができるようになる必要がある。発想力はこの先、未来を引っ張っていく。」

「10年後、20年後の世界は、今、私たちが想像している以上に様々なことが発展するのだろうなと感じ、ワクワクしました。」

「10年前から今年までの10年間はそんなに大きな違いがたくさんなかった気がするし、短く感じたけど、これからの10年間はロボットなど、たくさんの変化がありそうで濃く、長い10年だろうなと思った。」

「「面倒くさい」最近の人がよく使う言葉なので、「面倒くさくない社会」をテーマにしましたが、私はやっぱり努力して、自分の地位、居場所を持ちたいと思いました。勉強をしないと自分のやりたいことが思うように進まなかったりするので、やっぱり、いくら電子化が進んで発展し、「面倒くさくない社会」を実現できたとしても、努力し、自分のやりたいことのために勉強することは忘れたくないです。」

「面倒くさくない社会になれば誰もがうれしいことだが、その裏では絶対に面倒くさくないことをする人がいるんだなと思いました。」

「たくさんの意見を交換することができてよかったです。死に方プランナーという意見が出て、とても印象に残りました。」

「案外自分は、アイデアをまとめたり、考えたりすることが好きだとわかった。機能多彩な黒板ほしい!」

~社会人の振り返り~
「意見を出し合い、未来を考えることで、自分の生活を見直すきっかけとなりました。全てAIにまかせるような生活では、不満になりそうでした。人間らしさ、自主性というものは、大切にしたいと思っていることもわかりました。」

「自分の職業の将来性について、特に「ヒト」にフォーカスすべきと気づきを得た。」

「理論重視で考えるタイプ、心の中の風景を言葉にするタイプ、様々な意見が出ては話し合いになり、よい刺激になっていたと思う。自分にとっては発想のかたさを感じさせられた。」

「今の欲望が素直に出てきて面白かったです。今、自分が欲しいものを考えるのも、それを提供する仕事があるのだと考えるきっかけになると感じました。」

「労働力が、「人」から「機械」に移っていくことを強く意識している。その中でも、コミュニケーションに重きをおいた仕事が残る、生まれるのではないかと高校生が導き出したのが印象深い。」

「高校生と社会人が一緒になって未来を考える事(その時間)に価値を感じた。」

「デジタルネイティブ世代にとって、未来を想像することは難しいことではないと感じた。今はアイデアレベル(楽しい、面白い)だけだが、どのアイデアも実現可能なものばかりだと思った。こういうアイデア出し、笑いインスピレーションから、きっとイノベーションは生まれるのかもと感じた(高校生は気づいていない)。」

「高校生の発想の幅がとにかく広い。アナログとデジタルの二極化が進むように感じている人が多いと思った。」

「「ロボット」を便利なものと捉える一方で、驚異にも感じている気持ちが伝わってきた。不確かであることが確かになってきている世の中で、どこにやりがいや自信をもつのかとまどう姿を少し感じた。無くなるのは具体的なモノ、新しく必要とされるのは形のないもの(アイデアなど)が多かった。」

「ハイテクが予想される世の中でも、心の安らぎや人間らしさを大切にしたいという心を持つ若い世代がいることに、嬉しさと安堵感を覚えました。」

「最初は出にくかったアイデアも、自由に書き出す内に楽しくなってきました。場のつくり方、皆でワークという形も大切だと改めて思いました。「どんなことを提供する」という問いの切り口が、気づきにつながるよい問いだと思います。」

「こういうワークが広がり、creativeに自分の世界を作りだしていく、また自由な精神で真剣に生きる人が育っていけば、よいなあと思った。また、そんな大人がどんどん増えていくこと、自分もそうありたいと思った。」

~高校生の振り返りプラスα~
③10年後、あなたはどんなことを提供する仕事(職業名ではなく)をしている自分になっていたいですか?

「人の温もりを与える仕事(いってきます、いってらっしゃい)。」

「人の心を動かせるような感動を提供する仕事。」

「人間の心の感じ方を豊かにするお手伝いを提供。」

「未来に活躍する機械(今ないもの)をいっぱいつくっていろんな人にそれを提供する仕事。」

「老人を助ける仕事。」

「安心感と希望を提供している仕事をしていたい。」

「子供達の笑顔と純粋さを守れるようなお手伝いを提供する仕事をしていたいと思いました。」

「環境を守れて人の助けになれる存在。」

「人に喜んでもらえる、人を助ける、世界をもっとより良いものにしていく仕事に就きたいです。」

「困っている人、悩んでいる人々を助け、安心感を人に提供し、快適な時間をお客様に提供している自分になっていたい。」

「AIや自動化技術にあやかり切らない人のサポートをする仕事。」

「その人それぞれの気持ちの理解をすること。気持ちを理解したうえで、その人のサポートやケアができたらいいかなぁと。」

「陰ながらも、生活の支えとなる物をつくりだし、見つける人物。」

「人と接する仕事。安らぎや楽しい想いなどを提供する仕事。」

「社会人として生きていくための力をつけることを提供する仕事。」

「新しい物を生み出すだけでなく、過去の素晴らしい物を引き継ぐ仕事についてみたい。」

④10年後、あなたはどんな働き方をしている自分になっていたいですか?

「自分も楽しく、相手も喜ぶ働き方をしたい。」

「たくさんの人に必要とされていたい。自分のことを知ってもらって「いい仕事だね」「楽しそうに仕事してるね」など、嬉しい言葉をかけられたい。仕事にやりがいを感じて、ずっと続けたいと思えるようにしたい。」

「安定した収入、生活リズムが送れる働き方をしたい。」

「嫌だと思うことがあっても、結果的には楽しいと、自分自身が笑顔になれるような働き方をしたい。」

「この人と仕事がしたい。と思える人と、できれば好きなことに関係した仕事で働いていたい。」

「人のためにありながら、自分のためであり、とても楽しく生活できるような働き方。」

(ライター:松尾美里)

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