塔南高校「総学の時間」第20回(12月12日)は、「解決したい問題を見つける力をつける」ことを目的とした、2回連続型授業【問題発見力】の第2回目です。

今回は、前回考えたことを元に、それぞれの「解決したい問題」「理想の状態の社会」「自分の役割」などを発表する時間。
1グループ7~8人になり、個人発表と質問・フィードバックが行われていきます。

たとえば、こんな質問とやりとりが。

<質問者>「あなたにとってのコミュニケーションってなんですか?」
<発表者>「人と関わるときに大切なもの。」

<質問者>「あなたにとっての合唱コンクールとは?」
<発表者>「難しいな。みんなで時間かけてつくる、楽しいもの。」
<質問者>「もうちょっと具体的に。」
<発表者>「具体的に?」
<質問者>「どう楽しいかとか。」
<発表者>「んー、爽快感。みんなで大きな声を出すの爽快。」

<質問者>「薬剤師としてどんな接客をしたいのですか?」
<発表者>「接客!?」
<質問者>「どんな仕事というか。」
<発表者>「マツモトキヨシの上の方で働きたい。」

■解決したい問題
「世界にはまだまだ壁があること。」
■理想の状態の社会
「世界の壁がなく、メディアが取り上げることより、もっと深く追求できる、活動の幅が広がる社会。」
という発表に対して、
<質問者>「世界共通語を作ればいいやん。」
<発表者>「実際あるらしいけど、浸透していないらしい。」
<質問者>「英語でいいやん。」
<発表者>「英語でもいいけど。」
<質問者>「勉強したらいいやん。」
<発表者>「それは知ってるていでいこうや。」

■解決したい問題
「皆仕事に消極的になっている。自分自身は欲がない。」
■理想の状態の社会
「欲には、「仕事をしたい」といった将来の希望も含まれている。皆がそのような欲を持つことで、もっと皆仕事に積極的で活発な社会。」
という発表に対して、
<質問者>「欲がないと、それは実現できないんですか?」
<発表者>「そうですね。」
<質問者>「働きたくないっていうのも?」
<発表者>「それも欲ですが、皆「そうなりたい」と思わなければならないから、欲がないと。っていう結果論です。」
<質問者>「じゃあ、あなたはニートですか?」
<発表者>「僕は学生です。でも社会人になったら、欲がないと仕事ができない。」
<質問者>「食べたいと思ってくれる人がいるから作るみたいな?」
<発表者>「そうそう。」

その他、たとえば、こんな「理想の状態の社会」や「理想の状態の社会の中での自分の役割」の発表が。

■「理想の状態の社会」
・過労死がなくなる、自殺者が減る社会。
・誰でも生きがいを持てる社会。
・コミュニケーションが苦手で友達が作れなくて、ひきこもりになる人が少なくなる社会。皆が学校に来て皆が楽しく学校生活、楽しい日常を送れる社会。
・個人の能力と考え方を分析して、適切な職種を与えられる社会。仕事をしている時が幸せな社会。
・自分らしく生きていくことができる社会。どこの大学に行ったからいい就職先につけるとか、そういったことがなくなる。夢をとことん追いかけられる社会。

・病気の子どもが少なくなる社会。
・食料に困らない社会。
・皆が皆を教え合い助け合う社会。
・自分が行動をおこすことによって、それが他人にもプラスになる社会。
・高校生が、勉強と青春の両立をし、皆キラキラ輝いている状態。

・皆仲良く、争いがなく、差別なく、個性を大事にする社会。
・戦争や人種差別やどちらかしか得をしない外交交渉など、誰かが嫌な思いをすることがない社会。
・誰もが時間の無いことでストレスを感じずに生活できて、自分ももっと色々な経験ができるような時間を持つ状態。
・皆がイキイキしている。じいちゃん、ばあちゃんが走り回っている。病院が忙しくない。自分の体の問題でできない事がなくなる状態。
・何かの問題が起こった時に全員で解決に向かう方法を見出していける社会。一人だけで悩みを抱え込むことがない社会。

■「理想の状態の社会の中での自分の役割」
・周りにいる身近な人を大切にする。
・問題解決の方法を探す一員となる。
・何かに悩んでいる人の力になることで、その人を少しでも笑顔にすること。
・世界の人々が楽しめるようなアイデアや物を作ったりする。
・過去の戦争の歴史や現在の世界情勢などを自分の子どもや孫に伝えること。

・愛のキューピット。
・掃除をしっかりとすみずみまでする。きれいな状態を保つ。
・皆にとって一緒にいて楽しい友達。
・相手を認めて助ける。
・自分でいっぱいいっぱいにならず、周りの人もなぐさめたり励ましたりすることができる立場。

・学歴社会の様な雰囲気をなくす。自分が社会人になったとき、そういった事をしない。
・自分以外の人の夢を応援している。
・何もない社会を理想の社会に近づける役割。
・貧困の人達も幸せに暮らすことができるようにすること。
・自分のしたい事だけじゃなくて、他の人がしたい事を手助けできるようになる。

最後に、『問題発見力と問題解決力』ということで、

「未来の世界で人が担う仕事のひとつは、「新たな問題を発見すること」であり、人々のニーズを捉えて、サービス開発、商品開発する仕事が今後さらに重要になるといわれている。」
「ニーズとは、誰かが持つ『問題』のこと。別の言い方でいうと、「満たされるとうれしいこと」。」
「新たなニーズを発見し、解決している事例。」
「『働く』とは、誰かに対して価値ある何かを提供する役割を担うこと。」
を学んだ後、全2回の振り返りをして、本日の授業を終えていきました。

■以下、『問題発見力』全2回の振り返り(印象に残ったこと、感じたことなど)の一部抜粋です。

・はじめ、すごく大まかな「寝たい」という話から、深めていくと「過労死が多い」という問題に気づけた。問題の表面だけでなく、深くまでみていこうと思う。
・たくさんの問題があるけど、1つに絞ってそれを追求すると奥が深いと思いました。
・コミュニケーションが苦手な人を減らし、自分の意見を言えるようにし、楽しく過ごせるようにする。この理想の状態と現状での差は、人を「死」に至らすこともあるから、真剣に改善策を考えるべきと感じた。
・他の人の発表を聞いて、似たような問題でも解決の仕方が違ったりして、いろんな意見がでておもしろかったです。自分の意見も、しっかり相手に伝えることができたと思います。
・最後、皆の前で発表した人の印象が強かった。自分が人見知りの性格だということから、人を助けるということまで、深く考えられていてすごいと思った。

・「欲」についての発表がおもしろかったです。己の行動によって、社会の動きが変わってくるというのに考えさせられました。
・皆の発表を聞いて、それぞれの問題や解決策が、個性が出ていてよかった!
・現状と理想の状態を見比べることで、今の自分の課題が見つかりよかったと思う。
・皆それぞれ色々な理想をもっていて、この理想がぶつかりあって争いが起こるんだと思いました。
・今回選んだ「料理ができるようになりたい」以外の事もしっかり考えていけば、今の自分はもっとよくなるのかなと思った。
・1人1人理想の社会は違う。ほとんどの人が時間を有効に使えることが理想と考えている気がする。

・半分くらいの人の問題には、一部のところで共通点があり、皆、今よりも幸せに。ということなので、では、どこまでが自分の最高の幸せなのか。ということが知りたいなと感じた。
・自分がしたいこともそうだが、今自分が何をするべきか、何に必要とされているかが大切だと思う。何もかも自分の思うようにはいかないから、その時に自分がどんな考え方をするのかが大切だと気付いた。
・非現実的な問題や現実的な問題もあっておもしろかった。非現実的な問題に対して、自分の役割が不透明な人が多かったのが気になった。環境問題を解決したいという人がいて、その解決に対して自分も何かできるなと感じた。
・皆の問題を解決するか。自分を何とかすることで周りの皆が良くなるか。の2つの考え方があっておもしろかった。
・今日感じたことは、自分は1人で生きているわけじゃない、皆に支えられて生きているということ。

(ライター:小野利経)

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