塔南高校「総学の時間」第16回(10月3日)は、『定義づけ』をする意味を知り、ある物事を自分の言葉で定義づけして説明することを実践していきます。「考える力、伝える力の向上」を目的とした、3回連続型授業【クリティカルシンキング】の第1回目です。

クリティカルシンキングとは
「あらゆる情報や他人の意見、自分の意見に対して、一旦「本当にそうなのだろうか?」と疑問を持ち、客観的に分析する思考方法のこと」

定義づけとは
「言葉などの意味を特定すること」との説明が、
『夢』という言葉を使用してなされた後、

Mission1【言葉の定義づけ】
提示された問いを題材に、
「定義づけしたほうがよいあいまいな言葉」と「選択した言葉があいまいだと思う理由」を考えていきます。

たとえば、こんな話し合いが。
◆『人を幸せにする仕事とは何か?』◆
・「人とは何か。」「そこー!?幸せやない?」「人とは何か‥誰を対象とするか、ってことやない?」
・「人。年齢も別々やし、どこの国の人か分かんない。」
・「幸せ。人によって幸せは違う。」
・「仕事って、お金を稼ぐのもあるけど、お母さんとかのもあるやん。」

◆『10代のうちから将来を考える必要はあるか?』◆
・「10歳と19歳とでは差がある。どれくらいの将来か。30歳の将来と80歳の将来では違う。」
・「将来っていうのは、次の進路なのか、将来したいことなのか。」
・「考える。想像してみるだけか。」
・「何について考えるのか。将来の仕事なのか、勉強なのか、老後のことか。」

<定義づけをする意味>
「言葉の意味の捉え方により答えが変わる。あいまいな言葉を放ったまま考えると、自分(達)が何を「目的」として考えているのかがわからなくなるため。」との説明が。

お次は、Mission2【定義づけゲーム!】
ある物事について、
①辞書のような客観的な説明
②自分が思うままのオリジナルな説明
を考え、自分の言葉で定義づけして説明することを実践していきます。

まずは、1つ目の問い
◆『シャーペン』とは何ですか?◆
たとえば、こんな説明が。

①辞書のような客観的な説明
・「言葉や文章を書くときに使うものです。シャーペン単体では使えず、芯が必要です。芯は炭素からできています。細いので力を入れすぎると折れてしまいます。」
・「棒です。先を押すと芯が出てきます。鉛筆の進化版。力を入れすぎると芯が折れてしまいます。クルトガもあります。」

②自分が思うままのオリジナルな説明
・「小学生の鉛筆が進化したものです。種類があってこだわる人もいます。僕にはわかりません。」
・「シャープペンシルの略であって、シャープ株式会社が発明して世に出したものではありません。」
・「シャーペンといえば、勉強をするときにシャー芯という気合を入れて、やる気を先端から出すものです。シャー芯という気合を入れていても、やる気がでないときは勉強ができません。やる気がないとダメです。」

こんなやりとりも。
「シャー芯を入れて出すもの。だんだん分からんくなってきた。」「定義の定義ってなんや?」

2つ目の問い
◆『青春』とは何ですか?◆
たとえば、こんな説明が。

①辞書のような客観的な説明
・「期間は中学から高校まで。部活や恋愛にはまり、大人になってから強い思い出として悲しみと共に思い出されるもの。」
・「自分が一番楽しい時期や好きなことを思いっきりできる時期。後先考えずに突っ走ることができる時期。」
・「汗と血と涙。甘酸っぱいもの。どの年代からも愛されるもの。大人になっても良い思い出として残るもの。詳しくは、アオハライドをご覧ください。」

②自分が思うままのオリジナルな説明
・「人生の1ページである。喜怒哀楽がはげしい時期。人によって見過ごすときもある。みんなが夢中になるページ。」
・「人として成長する大切な時期で、同時に人との関係にストレスを多く感じる時期である。話す相手に本当の気持ちを伝えられない時期でもある。」
・「切なくて甘酸っぱいもの。絶滅危惧種で保護されるもの。河川敷に斜めのあれがあって、そこに2人で寝そべって、上の道には寝そべっているおじさんがいて、夕焼けを見て「きれいだなぁ。」って話すもの。」

こんなやりとりも。
「石田純一も、青春してるって言ってた。」「え〜(笑)」「でもあれも青春やん。」

3つ目の問い
◆『幸せ』とは何ですか?◆
たとえば、こんな説明が。

①辞書のような客観的な説明
・「ストレスがなく、毎日ずっと笑顔でいられる生活ができるもの。」
・「人によって異なるもので、自己の達成感によって得られるものが大半です。」
・「苦労を乗り越えて得られるもの。苦労がなければ、真の幸せは得られない。苦労があって得られるもの。」

②自分が思うままのオリジナルな説明
・「運命の人と結ばれること。毎日おいしいものを食べれること。かわいくなること。生きること。友達と食べ放題に行ってるとき。」
・「平和で生きられること。しょうもないことで笑っていられること。」
・「好きなアニメや俳優、ドラマなどを見たり、本を買ったり、いつまでもそばにあるときに感じる感情。友達と楽しく1日を過ごして「次の日も会いたい」と思えるのが幸せ。家族や友達の笑顔が見れること。」
・「野菜と肉のミルフィーユ。野菜という苦労があって、初めて肉が美味しくなる。」
・「少しのストレスと満足のバランスが保たれている状態。人によって感じ方は異なりますが、良いことばかり、欲望が満たされていることだけが幸せではありません。」
・「いざ幸せを得ても、実感できてなくもっと上の幸せを得ようとする。普通に暮らしていることが幸せなのに、お金がほしいなどと高い幸せを得ようとするけど、いざ得るとさらに上の幸せを欲しがる。「幸せ」ってそういう物や!」

こんなやりとりも。
・「衣食住がすべて満たされていること。」「満たされてなくても幸せな人はいるよ。フィーリングや。」
・「誰かが不幸をしょってくれているおかげで、自分たちが幸せでいられる。」「そうそう。」
・「社会的・肉体的・精神的に不安がない状態。・・・これ、健康の定義やん!」

言葉の定義づけを通して、自分なりに考え表現する時間。哲学的なやりとりもちらほら行われていた様子。最後に、印象に残ったこと、感じたことを振り返り、本日の授業を終えていきました。たとえば、こんな振り返りが。

・人としゃべるとき、1つの言葉にも色々な捉え方があるから、話すときは具体的に伝えようと思った。
・人によって考えは違う。辞書は単なる意味を書いているにすぎない。
・「夢」と聞いただけでは、どういう「夢」かという具体的なことがわからない、伝わらないんだなと感じました。定義づけするだけで、抽象的な話の内容から具体的な話、そして、そこから話が深まっていくんだと思いました。

・オリジナルで考えると、哲学っぽくなるので楽しかった。
・いろんな物事を客観的に見ることで、今までとは少し違う視点から考えることができた。自分の考えたことがすべてではないから相手の意見を参考にできそうだと思った。
・客観的にみたときと、主観的にみたときでは、全く感じ方などが違うし説明が難しかった。この2つを上手く組み合わすことによって、説明が上手くいくと思うので、両方考えながら伝えられることを目指していきたい。

・あたり前にいつも使っている物や言葉を改めて考えると、意外と難しいと思った。あたりまえの日常が一番の幸せだと感じました。
・改めて文にしてみると言われるとすごく難しかった。でも、幸せについては多くの意見が出たので、私達は幸せにつつまれているんだなと実感しました。

(ライター:小野利経)

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