塔南高校「総学の時間」第18回(11月21日)は、考えるための枠組み。『自分(達)で「問い」を立てて、自由に「枠組み」をつくる!』を実施していきます。「考える力、伝える力の向上」を目的とした、3回連続型授業【クリティカルシンキング】の第3回目です。

難易度調整のため、『考えるための枠組み』において重要となる、MECE(抜け漏れ、ダブりがない)を条件から外し実施。『考えるための判断軸をつくる』に近い内容で実施していきました。

はじめに、『枠組みのつくり方と情報収集の方法』『枠組みのつくり方の注意点』を、ピラミッド構造図を使用して学んだ後、

Mission1【枠組みをつくる!】
ということで、提示された「問い」に答えるための枠組みをつくる練習から実施していきました。
枠組みのつくり方はひとつに限らない。枠組み数に決まりはないが2〜5個が望ましい。ということを踏まえて、
まずは、<例題>を使い、枠組みをつくるにあたっての考え方を学んでいきます。

<例題>の問い
「デートの誘いをOKするか?OKしないか?」(前提として友達として仲はよいとする)
「どちらにするのかを決めるポイント、基準(複数)は何?」

たとえば、こんな答えが。
「おごってくれるなら。」(お金)
「どういう所に連れて行ってくれるか。」(場所)
「美味しいものが食べられるかどうか。」(食事または場所)
「外の気温。寒い時とか大嫌い。」(時期)
「正直なところ、見た目が好みかどうかで。」(見た目)
「立場・地位。」(相手との関係性)

こんなやりとりも。
・「人間性。」「なんでやねん、もう仲良いやんけ。」
・「デートの定義は?」「女子と2人で遊びに行っていたらデートやろ。」「え。でも、俺普通に女友達と2人で遊びに行っているで。1人だけじゃなく。デートとは思ってないで。」「いや。普通は2人で遊びに行っていればデートやで。」(男子4人グループの会話)
・「相手をどう思っているか。好きかどうか。」「好きでも断る。」「なにそのじらし。」「違う~!」
(よくわからないが、じらしではなく何かが嫌らしい。好きなのに・・・。)

お次は、【枠組みをつくる!①】
問い「Aラーメン店に行くか?Bラーメン店に行くか?」

たとえば、こんな枠組みが。
・「味」「雰囲気」「評判」「値段」「距離」
・「美味しさ」「店の清潔さ」「値段」「場所」「店員の態度」
・「値段」「人気度」「場所(近いかどうかみたいな)」「行列か(人気度みたいな)」「あとマイナーか」 ←「矛盾してない?(笑)」とのツッコミも。

もう1問【枠組みをつくる!②】
問い「A企業に行くか?B企業に行くか?」

たとえば、こんな枠組みが。
・「給料」「先輩とかの対応」「雰囲気」「自分の好きな仕事内容か」
・「給料」「労働時間」「清潔感」「人間関係」
・「給料」「職場の雰囲気」「労働時間」「交通のアクセス」「会社の規模」

その後、『枠組みをつくり考える意味』『枠組みごとの評価・比較方法』を学び、

Mission2【自分(達)で「問い」を立てて、自由に「枠組み」をつくる!】
「2択の問い」と「枠組み」を個人でそれぞれ考え、グループで共有・さらにつくる、全体共有という流れで実施していきました。

たとえば、こんな「問い」と「枠組み」が全体共有されていきました。
問い「私立か?公立か?(高校選び)」
枠組み「場所」「部活」「進路」「学校生活」「学費」

問い「マンションか?一軒家か?」
枠組み「値段」「住みやすさ」「キレイさ」「広さ」「景色」

問い「彼氏と親友の両方に誘われたときにどちらと遊ぶか?」
前提「彼氏は付き合って1週間、親友は10年以上の付き合いやけど2年間会っていない。」
枠組み「行く場所」「好き度」「お金の問題」

問い「きのこの山か?たけのこの里か?」
枠組み「食感」「見た目」「味」
☆クラス内で投票を実施!・・・16対17でたけのこの里の勝ち!接戦でした!☆

問い「靴Aか?靴Bか?」
枠組み「値段」「履き心地」「色合い」「重さ」
枠組みの理由「いつも選ぶときにこういう感じで選んでいるから。」

問い「セブンイレブンか?ローソンか?」
枠組み「場所」「商品」「接客」
枠組みの理由「場所は近いほう。商品はオリジナル商品の充実さとか。接客は愛想の良さ。」
「ちなみにどっちのほうが接客良い?」「場所による。店によって違う。」

問い「結婚するか?しないか?」
枠組み「性格」「見た目」「家事」「年齢」「その他」
枠組みの理由「幸せになるためにこの5つが重要だと思ったから。」

問い「学食か?弁当か?」
枠組み「時間」「メニュー」「季節」
枠組みの理由「時間はお母さんが作ってくれるか。メニューは食べたいものがあるか。季節は今寒いから学食に行くのが嫌。」

問い「牛丼か?牛皿か?」
枠組み「ご飯用意する手間」「つゆ」「飯」「値段」
枠組みの理由「ご飯用意する手間は、牛丼はごはんと肉がセットで来る。牛皿は肉だけ来る。つゆは、ご飯にしみている、しみていない、どっち派かみたいな。」「飯ってなに?」「もしかしたら、お母さんが家でごはん炊いているかもしれない。」

問い「打ち上げ花火を下から見るか?横から見るか?」
枠組み「混雑さ」「見やすさ」「キレイさ」「ロマンさ」「ムードさ」
「「ロマンさ」と「ムードさ」の違いは??」
「ロマンさは自分の内なるテンション。」
(よ・・よくわからないが、本人達の中では枠組みとして別物らしい。)

その後、『自ら問いを立て考える意味』として、
「人生は選択の連続、決まった答えはない。何を考えればいいのかという『問い』も、自分がどうすべきかという『答え』も、誰も与えてくれない。自ら問いを立て自分なりの答えを出す経験を積み重ねる中で、主体性を高め人生を決めていく必要がある。」

そして、『企業が新卒採用で重視する点(上位5個)』
(日本経団連「2016年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」引用)

1位は「コミュニケーション能力」 2位は「主体性」
「コミュニケーション能力」に必要な力は、「伝える力」「聴く力」「考える力」
「主体性」に必要な力は、「自ら問いを立て自分なりの答えを出して行動する力」
ということを学び、本日の授業を終えていきました。

■以下、『クリティカルシンキング』全3回の振り返りの一部抜粋です。
・案を積極的に出して意見を言うことも大切だが、皆が意見を言える雰囲気をつくりたい。これから先も2択や3択で悩み、人生を大きく変える選択があると思うので、今日学んだことを自然と生かせるようにしたい。
・自分が悩んでいたことを、枠組みで書いたらわかりやすくなった。
・視野を広くして考えることで、自分の考えや考え方、行動とか変わってくると思うから、これを部活なり人間関係だったりに生かしていきたい。人によって考え方や感じ方が違うため、主観だけじゃなく、客観的にも捉えることが大事と感じた。
・クリティカルシンキングによって、いつもの問いや答えが、よりおもしろいものになるんだなと思った。

・伝えたいポイントを整理して、定義づけができた。1つの物を色んな視点から見た。ピラミッド構造を使ってわかりやすく伝えることができた。ピラミッド構造を使えば、わかりにくいことも整理して、わかりやすいので普段でも使えるなと思った。
・楽しかったです。普段はあまり詳しく考えないことなので新鮮でした。
・自分なりの考えをしっかりと考えながらも、早く答えを出すようになっていきたい。ピラミッド構造図を様々な場面で活用して、答えを出したいです。
・あることに対して、もっと詳しく考えられるようになりたいと思った。人生には正解がないから、そのたびに自分が正しいのかを判断する力が必要だと改めて感じることができた。

・自分の力でも枠組みや定義づけができた。自分だけでなく他の人の意見もきいて尊重するようにしていきたい。今回学んだことは、これからの将来に向けて絶対に必要になることだと思いました。これからも意識してがんばる。
・話すときに自分の考えていることを整理して、伝わりやすいかを考えて話していきたい。問いのあとの枠組み、情報の順番を変えて考えるだけで、難しさや考えることが変わることが分かった。
・1つ1つの問いに対して、しっかりと自分で考えることができた。他の人と意見を共有することによって、自分の考えが広がると思うので、積極的に共有していきたい。段階を踏んで伝えるということがわかった。
・中心とまではいかないが、話をスムーズに進められるようにしていきたい。1つ1つの考えがまとめられることにより、ここまで伝えやすくなるということが印象に残った。

(ライター:小野利経)

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