イノベーションを起こすべく、新商品やサービスの斬新な発想やアイデアを求める企業人。
普段なかなか出会えない年齢や背景のさまざまな人と一緒に議論しながら、ゼロからイチを生み出していきたいと考える中高生。
もし両者が社会課題を解決するサービスの開発に向けて、一緒にとことん議論したら、どんな化学反応が起きるでしょうか?
そんな実験的試みが、2017年2月11日に行われた「中高生×社会人」架け橋イベントです。NPO法人あすいろ、みらいラボの主催のもと、グロービス経営大学院大阪校に19名の企業人、教員と、関西各地の中高生19名が集結。
前編ではウォーミングアップのグループワーク2つと、本題のディスカッションの模様を一部レポートします!
中高生3名×社会人(教員含む)3名でグループをつくります。もちろんほぼ初対面同士。最初は表情に緊張が見えます。
そんな緊張を吹き飛ばすように、主催者兼モデレーターの永野仁士さんから明るい一声が。「世代の枠を超えて、社会に対して新たな価値を作り出すにはどうすればよいか考えてみましょう。本日のワークやディスカッションで生まれたアイデアを形にしていきたい。そんなリーダーシップをもった人がどんどん出てくれれば嬉しい」と熱い想いを語りました。
実は前回1/22に行われた「教員×企業人」架け橋イベントからは、イベントなどの、いくつものプロジェクトが立ち上がっているそうです! さぁ、今回のイベントでは何が生まれるのでしょうか?
さっそく「チームワーク醸成」を狙いとしたグループワークがスタート。普通の自己紹介かと思いきや、一味もふた味も違います。お題は、一人30秒の自己紹介後に、わずか7分でメンバー6人の「できるだけレアな共通項」を見つけるというもの。いきなり高いハードル! ですが、共通項を見つけ出す中で笑いがあちこちから立ちのぼり、いつしか打ち解けて、会場があったまっていきます。
各チームの発表では、「旅行で広島に行ったことがある」、「みんな資格をもっている」、「出身地がみんな違う」などと、答えもバラエティにあふれていました。
つづいて2つ目のグループワークは「お互いの発想力を体感」するというもの。5分間で「〇」を使った絵を制限時間内にできるだけ多く書いてみるというもの。みんなで〇を描きながらアイデアを互いに提案しあっていきます。描きだしたあとはその中で「激レア」なものを探します。30~40個のアイデアが出たグループが多い中、68個も出てきたツワモノグループも! 風力記号やら七輪やら原子記号やら、斬新なアイデアが飛び交います。
実は、この2つのワークはまだまだ予備選。いよいよここからメインのディスカッションに突入です。テーマは、今ある「誰か」の課題を特定し、その課題解決に向けた解決策を策定するというもの。配布資料の「課題、顧客セグメント(誰に対してか)、価値提案、ソリューション」をアウトプットするのが目標です。このディスカッションの肝は、評論家の姿勢で終わるのでなく、「自分が実行していくぞ!」と主体的に動けるところまで発展させていくこと。制限時間は45分。
まずは中高生、企業人がそれぞれ普段、課題に感じていることをありのままに共有していきます。
課題として挙げられたのは「朝布団から出られない」、「通学が大変」という身近なものから、「英語教育が遅れている」、「左利きの人でも便利に使えるユニバーサルデザイン」「高齢化」といった社会全体に目を向けたものまで、実にさまざま。まさに「正解のない課題」。互いに刺激を与え合うことで、一人では思いつかないアイデアの種が生まれていきます。
例えば、あるグループは、「ユニバーサルデザインで左利きの人のストレスを減らす」という課題解決にテーマを絞りました。「左利きの“まいちゃん”が、外食するたびに配膳の組み換えにストレスを感じてる」というように、具体的な解決したい場面を書きだしていきます。「困っている人のペルソナ」が浮かび上がっていくなんてすごい! 中高生も社会人も真剣そのものです。
各グループを見ていると、「例えばこんな考えはどう?」「それ、目の付け所がいいね」といった、相手の考えを促す言葉(=呼び水)があると、どんどん議論が深まっていき、アイデアが磨かれていく。そんなプロセスがあちこちで起きているように感じました。
さぁ、各グループからどんな発表が行われるのか、後編の投稿をお楽しみに!
(ライター:松尾美里)