「教育の課題に関心があるけれど、学校教育に関わる接点ってどうしたら見つけられるの? 会社に勤めながら何かできないだろうか」と考える企業人。

「学校教育はまさに変化の過渡期。教員の知恵や経験だけでなく、異なるバックグラウンドを持つ人たちのアイデアや意見を取り入れたいし、一緒に何かやりたい。でもどうすれば?」と考える教員。

普段は異なるフィールドにいながらも、新たな教育の形をつくりたいという共通の想いを持つ両者をつなぐ「架け橋」となる場をつくりたい。そんな想いから生まれたのが、2017年1月22日に開催された「教員×企業人」架け橋イベントです。教育実践未来会議、NPO法人あすいろ、みらいラボの主催のもと、グロービス経営大学院大阪校に40名以上の企業人と教員が集まりました。

今回はその様子の一部をレポートします!
第一部は「20年後の社会で活躍する人材に必要な力とは」というお題で、4名のプレゼンターが登壇。まずは企業人サイドから。

トップバッターは、大阪ガスIR部長の津田恵さん。海外事業の進出という経験を通じて、異質な人たちとふれあい、変化に適応していく重要性を痛感したといいます。そしてグローバルに活躍している人の共通項として、①メタ認知力、②柔軟性、③自己効力感の3つの能力に長けているとのことでした。そして意外にも「投資教育」が今後ますます必要になるそうです。

つづいて二人目は、iplug CEOを務める中野智哉さん。歴史をひもとくと、社会で活躍するのは、「あらゆる手段を用いて新しい価値を創造し、成長させ続けられる人材」であるとのこと。「今後は、知的好奇心と情熱、自己肯定感に満ち、変化し続ける強さを持った、ストリートスマート(正解のない答えを探せる人材)がいっそう求められる」という強い言葉を残されました。

今度は教員サイドに移り、西大和学園にて数学、情報、技術を教える光永文彦さん。

突然ですが、みなさんは情報科目の試験問題って見たことありますか?
光永先生が出題された問題の一例は、こちら!
「LINE、Facebook、Twitterアプリの特徴と使い分けの方法を50字以上述べよ」
大人もじっくり考えさせられるし、正解も十人十色になりそうな問いですよね。
授業ではこうした問いを生徒同士でディスカッションしていくのだそうです。

今後必要な力として、中高のうちに「ルールに合わせるだけでなく、状況に応じてルールを創る力」、「異質と異質がぶつかる未知の世界へ飛び込む力」を挙げられました。

最後の4人目は京都工学院高校の立ち上げから指導まで携わっていた有本淳一さん。
一貫して伝えておられたメッセージは「教育とは『不易と流行』である」ということ。
人間性や生活習慣といった「不易」の部分と、社会人基礎力や基礎学力のように時代に応じて変化していく「流行」の部分。両者を、バランスよく社会全体で実現していくことが大事といいます。今後活躍する人材には「感じる力」が必ず求められるとのこと。OECDでも「2030年の社会を生きていくために必要な力」として、技能や創造性、論理的思考力と並んで、例えば「美を感じる力」といったEmotional(感情的)な力が取り上げられているそうです。

今後は学校に、異文化を持つ人が行き来する「出島」をつくり、そこで未来を変える志士を育てていくようなSuper Dejima High Schoolへと進化していく――。
4人のプレゼンに鼓舞された参加者からは、登壇者への質問が数多く舞い込みました。第2部の投稿もお楽しみに!


(ライター:松尾美里)

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